Ritchie Blackmore --- interview

"Player" No.400 (p.32-37) - June 1999, Player Corporation

 ディープ・パープルでの成功以来、30年あまりも世界最高峰のハードロック・ギタリストの名を欲しいままにしてきたリッチー・ブラックモアが、1997年に西洋の古典音楽に影響を受けたアコースティック色の強いアルバム『シャドウ・オブ・ザ・ムーン』を発表した。リッチーが中世やルネサンス、バロック期の音楽に興味を持っていることは、パープル時代から有名なことだが、それはあくまで趣味の範囲内のことであって、まさかフィアンセのキャンディス・ナイトと共にブラックモアズ・ナイトという新バンドを結成してアルバムを発表し、日本とヨーロッパで本格的なツアーを行なうまでに至るとは、10年前に、いや5年前には誰が予想したであろうか。しかも、これがアルバム1枚だけの気まぐれプロジェクトでないことは、4月に発表されたセカンド・アルバム『アンダー・ア・ヴァイオレット・ムーン』からも明らかである。リッチーは本気なのだ。「いつディープ・パープルに戻るの?」「いつ再びレインボウをやるの?」「ヘヴィで歪んだギターが聴きたいんだ」というファンの声は確かにリッチーの耳に届いているものの、ナイトを続けることが彼の当面の強い意志のようだ。
 TVのニュース番組に出演してインタビューに応じる。笑顔を絶やさない。ステージ中央にやって来ては他のメンバーと積極的に交わる。さすがにマイクは通さないものの、ファンからの声援に「Yes」「ハイ」と答える―――これは2年前の来日時にリッチーが見せた姿だが、ディープ・パープル時代にはメンバー間の緊張関係が(ヴォーカリストであるイアン・ギランとの長年の反目状態は有名な話)、レインボウ時代には若手メンバーへの叱咤激励やしごきが彼の音楽をスリリングなものとしてきたことを知る我々にとっては、ある種、衝撃的ですらあった。一見すると人当たりが良くなったような感があるが、ハードロッカーとして確立された地位を捨ててまで新たな音楽的境地を追求するリッチーのことを一概に「丸くなった」という言葉ではくくれない。本誌では、ニュー・アルバムが完成して一息ついているところのリッチーに電話インタビューを試み、音楽性の変化と現在の心境、彼が愛してやまない古典音楽について聞いてみた。

──このような古い時代の音楽があなたの創造性にインスピレーションを与えうると、最初に意識したのはいつのことですか?
この種の音楽を初めて聴いたのはたぶん9歳の時だったと思う。道の向こうに小さな教会があって、学校の生徒で構成されている合唱隊が「グリーンスリーヴス」を歌っていたんだ。この歌はとても古いもので、ヘンリー8世[テューダー王朝時代のイギリス国王。在位1509〜47.離婚を認めぬカトリックのローマ法王庁と絶縁し、自らを首長とするイギリス国教会を設立した]が書いたとされているけど、本当に彼が書いたものかどうか真相はわからないんだ。ヘンリー8世自身が優れた音楽家であったことは確かなんだけど、誰かの首をはねて作曲クレジットを取ってしまったのかもしれないね。とにかく、これが最初の体験だったんだけど、その後も、グリーグ(1843〜1907)やバッハ(1685〜1750)といった音楽に興味を持つようになった、それから、たぶん1972年か73年だったと思うんだけど、デイヴィッド・マンロウがヘンリー8世の音楽を演奏する番組をBBC-TVで見たんだけど、とてもエキサイティングで感動したんだ。ロンドン・コンソート・オブ・アーリー・ミュージックをデイヴィッド・マンロウが指揮していたものだったと思う[一概にクラシック音楽と言っても、バッハ以前の音楽はしばしば“アーリー・ミュージック(古楽)”と分類される]。この頃はまだ単なるリスナーにすぎなかったんだけど、ドイツ・ツアー中に城でプレイする音楽家集団に出会って、彼等の演奏する本物のルネサンス音楽をとてもエキサイティングだと感じたりもした。

──楽器も当時のものを使っていたんですか?
フィドルやハーディガーディ、リュート、バグパイプ、クルムホルンなど、その頃のいろんな楽器をプレイしていたね。

──このような音楽のレコードはたくさん所有しているのですか?
もちろん。全部聴きすぎてボロボロになってしまっている。今ではルネサンスや中世の音楽のCDをたくさん持っているよ。落として傷でもつけない限り雑音が出ないからいいね。中には持ってるだけで封を開けていないものもあるけどさ。

──友人にはクラシック畑のミュージシャンも大勢いるのですか?
ああ。こういう音楽を演奏する友人がたくさんいて、ロング・アイランドの俺の家の近くにあるノルマンディー・インていうレストランによく集まって一緒にプレイしているんだ。ここは古い城のようなところでね。土曜日の夜になることが多いんだけど、皆で集まって古い時代の音楽を演奏して楽しんでいる。

──プレイするのは主にヨーロッパの音楽ですか?
そう、テューダー朝時代(1485〜1603)の音楽とか、ドイツの音楽とかね。最近では範囲が広がって、スペインの音楽もやっている。

──こういった音楽がニュー・アルバムにも反映されているわけですね。
もちろん。「スパニッシュ・ナイツ」っていう曲があって、これは古いスベインの音楽のリフを使ったものだ。「モーニング・スター」ではトルコ音楽のスケールを使っている。「キャスリン・ハワーズ・フェイト」ではイギリスの、「マーチ・ザ・ビーローズ・ホーム」では1500年代のドイツのメロディを使っているんだ。

──セカンド・アルバムのほうが音楽的に多彩であると、私は感じました。
俺にはよく分からないけど、皆からそう言われるよ。今回のアルバムのほうが参加しているミュージシャンの数が多いことにも関係があるかもしれないね。 15人くらいかな。

──キャンディス・ナイトがいなかったら、このアルバムは出来なかったと思いますか?
うん。作りたいとも思わなかっただろうね。俺はずっとこういった音楽が好きだったんだけど、キャンディスもまたそうだった。それで俺に一日中この種の音楽をプレイするよう要求するんだ。彼女は時々フリートウッド・マックなんかもプレイするんだけど、俺はもっぱらルネサンス音楽だけどね。

──キャンディスによって精神的に変化したと思いますか?
そうだね。それまでは俺ひとりで世界と対決していたわけだけど、今では俺とキャンディスで世界と対決してる(笑)。俺達は1日24時間ずっと一緒にいるんだ。音楽的にも精神的にもお互いに楽しんでいるよ。

──あなたとキャンディスは法律的にも結婚しているのですか?
いや。正式に結婚するつもりはないんだ。だから、毎日楽しくデートしている恋人同士かな。俺はこれまで3回結婚したけど、あまり良いことじゃなかったね。

──あなたがたは愛し合い、一緒に暮らすバートナーであって、同時に、芸術活動をともにする仕事上のパートナーでもあるわけですが、自分達をジョン・レノンとヨーコ・オノと比較したことはありますか?
時々、俺は自分とヨーコを混同しちゃうんだ(笑)。冗談はともかく、そういうふうに考えたことはないね。俺達が四六時中一緒にいて、四六時中一緒にバンドをやり、四六時中一緒に音楽をプレイし、四六時中一緒に何かをやっていることに関して、こんな状態で大丈夫なのかと疑問を感じる人も中にはいるようだね。普通はそんなこと上手くいかないものなんだけど不思議なことに俺とキャンディスはそれで非常に上手くいってるのさ。

──あなたがたは二ュー・エイジ運動[物質文明や形骸化したキリスト教に反発し、東洋の宗教や神秘主義等に影響を受け、霊性や自然、宇宙を重んじる宗教的ムーヴメントの総称]に興味を持っているそうですが、現在やっている音楽はそれからの影響も受けているんですか?
そう思うよ。俺は自分達の音楽を「ネイチャー・ミュージック」と呼びたいね。俺はよくギターでビートルズの曲を弾くんだ。何人か集まって酒が入ると、最初にプレイするのは必ずビートルズの音楽だろ。どんな曲でも音楽的に優れていて、良いメロディがあって、しかも覚えやすい。俺が最も熱望しているのはそういう境地に達することなんだ。皆が参加して自然に歌えるようなシンプルで覚えやすい音楽をやりたいね。複雑で皆がついてこれないような音楽はやりたくないよ。キャンプファイヤーを囲んで皆が参加できる音楽がいいね。今、俺達は自然と密接に結びついた生活をしているんだ。
木を大切にして、緑という色に大きく影響を受けている。地球には緑色をしたものが最も多いんだ。だから、俺達の音楽も自然と有機的な繋がりがあって、ストレスやコンピューターといったものには縁がない。他人の目から見たら、ファンタジーの国に行っちゃってる逃避主義みたいなものかもしれないけどね。

──アルバムではシンセサイザーなどの現代のテクノロジーが多用されていますが、古い時代の音楽とのバランスをどのように保っているのですか?
とても簡単なことさ。当時の音楽は力強く、メロディも優れているんで、どんな楽器で演奏してもしっくりくるんだ。これは面白い経験なんだけど、いろんな人にルネサンス音楽を聴かせたら「好きじゃないね」っていう反応が返ってきたんだ。でも次にブラックモアズ・ナイトを聴かせたら気に入ってくれたんだ。「君達の音楽は好きだよ」ってね。現代の人の耳にも合うようにちよっと変えてあるということもあるんだろう。つまり、俺達がこういった音楽の本質に対して扉を開ける役割を果たしたわけさ。
今のアメリカの音楽業界はひどいよ。レコード会社は皆、同じ音楽ばかりリリースし続けている。誰が演奏しているかなんて関係なく、同じタイプの音楽ばかりが横行している。恐らく異なる分野に触れることが怖いんだろう。レコード会社のそういった態度のせいで、現代の音楽シーンはとても浅薄なものになってしまっているね。優れたミユージシャン、少なくとも、俺が好きなミュージシャンがTVに出ることなんてない。売れてないからね。馬鹿げたことさ。

──クラシック音楽の中でも、グスタフ・マーラー(1860〜1911)などの、もっと現代に近いほうの音楽は好きではないんですか?
(きっぱりと)好きではない。俺の趣味じゃないよ。

──私はパイプオルガンのコンサートに行って、現代の作曲家が書いた作品と思っていたものが、実は13世紀の写本から発見された作者不詳の曲だったという体験をしたんですが、あなたも古い時代の音楽の中に何か現代的なものを感じたということはありますか?
君が聴いたというのはたぶんスペインの音楽じゃないかな。 で、質問は何だったっけ?

──バロックやルネサンス期の音楽の中に何か現代的なものを感じたことはありますか?
ああ。ここ100年のことだと思うけど、こういった古楽が再び盛んに演奏されるようになっているんだ。つまり、周期なんじゃないかな。ディープ・パープルにいた時もレインボウにいた時も、同じアプローチで同じリードのフレーズを繰り返しプレイすることに飽きてしまったんだ。でも、今やってる音楽ははるかに当意即妙で新鮮だ。俺はメロディを最も重要視しているんだけど、キャンディスがそれを完璧に歌ってくれる。俺はこれまで男性シンガーとロックンロールを演奏してきたわけで、今でも心の中ではルネサンス音楽をやろうかロックンロールをやろうかっていう葛藤が常にあるんだけど、キャンディスが俺の尻を叩いてくれるわけさ。
ロックンロールは今でも好きだよ。でも、それをずっと飽きるほどプレイしてきた今となってはルネサンス音楽を聴くことのほうが若返る。優れたメロディほど聴いて力が蘇るものはない。今の音楽シーンに欠けているのはまさにこれさ。この世界、全くナンセンスなものばかりだね。俺にとっては、音楽業界という暗煙の中から抜け出して野原に行き、そこで初めて本当の音楽を聴いているという感じなんだ。とてもエキサイティングな体験だよ。

──あなたはこれまでに何人もの歌詞を書くヴォーカリストと仕事をしてきましたが、キャンディスは作詞家としてどのように評価していますか?
一緒に作業をした中では最高の作詞家だと思うよ。イアン・ギランは時には優れたものを書くこともあったけど、ロニー・ジェイムス・ディオのほうが自分にあった強力な歌詞を書いた。

──ジョー・リン・ターナーはいかがですか?
歌詞に関しては極めてストレートで、愛についてのものが多かった。

──グラハム・ボネットは?
あいつは歌詞を書かなかった。

──あなたも歌詞を書くことはあるんですか?
今はキャンディスを手伝う程度のことが多いけど、「アンダー・ア・ヴァイオレット・ムーン」は俺が歌詞を書いたんだ。俺はギター、キャンディスは歌詞という具合に、たいていはお互い自分の仕事に専念するのさ。キャンディスが煮詰まってしまっている時には、2、3語アイデアを出すことはあるけど、そうでない時には特に手伝うことはない。

──昨年中にヨーロッパで行なったいくつかのコンサートではボブ・ディランの「ミスター・タンブリン・マン」を演奏したようですが、この曲をやろうって最初に言い出したのは誰ですか?
俺だよ。

──ボブ・ディランのファンなんですか?
ああ。大ファンさ。冗談で弾いたらキャンディスが歌い始め、それが良かったからショウでも演奏しようってことになったんだ。
俺がボブ・ディランを好きなのは、曲が良いっていうこともあるけど、常に非常にアンチ・ショー・ビジネス的だからなんだ。ステージ上で子供騙しみたいなことを決してしない。マイケル・ジャクソンやマドンナのように派手にショウアップせず、ボブ・ディランは常にボブ・ディランだろ。俺にとってのヒーローっていうのは多くはいないんだけど、ボブはそのひとりさ。 1967年にドイツにいた時に初めて『ブロンド・オン・ブロンド』を聴いて以来ずっと、このアルバムに夢中なんだ。何度聴いても飽きないね。当時はこのレコードばかり聴いてるもんだから、人からクレイジーだって言われたくらいさ。

──「ミスター・タンブリン・マン」を選んだのは吟遊詩人的な雰囲気があるからですか?
深層心理においてはそうだったのかもしれないね。ボブ・ディランの全ての曲に吟遊詩人的な雰囲気があると思うんだ。

──『アンダー・ア・ヴァイオレット・ムーン』中の多くのトラックで、アコースティック・ギターが左右に1本ずつ入っていて同じことを弾いているようですが、ディレイ・マシーンを使ったのですか? それとも、全く同じフレーズを2度繰り返してレコーディングしたのですか?
基本的には殆どが、全く同じフレーズを演奏してダブルトラックとなるよう録音したものなんだけど、ミキシングの際にエンジニアが俺のギターの音を電気的に左右に振り分けたものもある。『シャドウ・オブ・ザ・ムーン』のレコーディングの時にも同じようにやったんだ。

──前回のアルバムではイアン・アンダーソン[イギリスの老舗バンド、ジェスロ・タルのヴォーカリスト。フルートもプレイする]がスペシャル・ゲストとして参加していますが、今回はミリ・ベン・アリが加わっています。 彼女とはどのようにして知り合ったのですか?
去年会ったんだ。彼女はイスラエル出身のバイオリニストで、アイザック・スターンのもとで勉強していたんだ。俺のクリスマス・パーティーにやって来て、その時のジャム・セッションで見事なバイオリンを披露してくれたんで、「スタジオでのレコーディング作業に戻ったら、君のバイオリンを使いたいんだけど」って言ったら快諾して、後日スタジオに来てくれたんだ。「モーニング・スター」では難しいバイオリンのパートを書いておいたんだけど、彼女はそれを5分でやってくれた。

──同じく新作に参加している元ストローブス[1970年代初頭に活躍していたイギリスのフォーク・ロック・グループ]のジョン・フォードとは長年のつきあいなんですか?
いや。ジョンのことは1972年から知ってたけど、実際に会ったのは去年のことなんだ。ロング・アイランドでね。俺はずっとストローブスの音楽のファンで、ジョンの深みのある声が好きだった。キャンディスが非常に女性的な声をしているのに対して、ジョンの声はとても男性的なんだけど、イギリス/ヨーロッパのフォーク系のものであって、決してロックンロールではない。俺はずっとフォークの歌える男性シンガーを探していたんだよ。

──ルネサンス音楽だけでなく、イギリスのフォーク・ミュージックもブラックモアズ・ナイトの音楽に大きな影響を与えていますよね。
そうだね。俺は20年以上も前からずっとスティーリー・スパンといったバンドの大ファンだからその影響はあると思う。

──アメリカのフォーク・ミュージシャンと一緒に音楽を作ってみたいという意向は持っていないんですか?
ナイトのメンバーに加わったばかりのもうひとりの女性シンガー、マーシー・ゲラはアメリカ人だよ。彼女はキーボードも演奏するんだけど、キャンディスのヴォーカルとよく合う素晴らしい声を持っている。だから今、バンドには声の点で優れた人材が揃っている。

──将来、どんな人と一緒に音楽をプレイしたいと思いますか?
こういうことはよく聞かれるんだけど、俺がいつも思うのは「どんな音楽をやりたいか」であって、誰とということではないんだ。外部のミュージシャンとの共演をやり過ぎるのは良くないとすら思っている。でも、強いて言うと、ドイツのある無名バンドと一緒にやってみたいね。ダス・ガイヤー・シュワッサー・ハウフェンていう奇妙なバンド名の連中なんだけど、彼等のプレイは大変印象に残っている。[『アンダー・ア・ヴァイオレット・ムーン』の中の「マーチ・ザ・ヒーローズ・ホーム」にはこのグループが参加している。 ]

──コンサートでナイトの演奏が始まる直前にスピーカーから流れる曲は、純粋なバロック音楽みたいなんですが、途中でトランペットが「スモーク・オン・ザ・ウォーター」のリフを吹きますよね。 これは誰が演奏しているんですか?
今言ったダス・ガイヤー・シュワッサー・ハウフェンが演奏してるんだよ。何年も前に友人と一緒に城の中で彼等の演奏を聴いて以来、ずっとファンだったんだ。で、俺がこのバンドのファンだってことが連中の耳に届いていたようで、「ショウのオープニング用の素敵な曲が欲しい」って頼んだら、そのレコーディングの際に「スモーク・オン・ザ・ウォーター」と「ブラック・ナイト」を途中に挿入してくれたんだ。冗談でね。

──この曲が入っているCDは出ているのですか?
もちろん。もう1度言うと、バンド名はダス・ガイヤー・シュワッサー・ハウフェンで、アルバムのタイトルは『Stella Splendens』だ。この中に入っているよ。日本からだと入手は難しいかも知れないけど、インターネット上に彼等のホームページがあるようだから、そこを通じて買えるかもしれない。そもそも、この種の音楽は日本では入手が難しいだろう。彼等のコンサート会場ではオリジナルCDを売ってるんだけどね。

──日本では、あなたは今でも少年少女が音楽を始める動機となっていて、友人達とバンドを作ると,必ず一度は「スモーク・オン・ザ・ウォーター」を練習するんですよ。
そういう話は聞いたことがあるけど、ある意味でお世辞半分なんじゃないの? でもとにかく、素晴らしいことだと思っているよ。俺の場合、音楽を始めた時にはジャズやカントリー・ミュージックが好きで、俺よりも早くビッグになったキンクスやザ・フーといったバンドにも心酔していたんだけど、皆、音楽がシンプルだろ。そこで、「自分がギターで弾くことの出来る最もシンプルなものは何か?」と考えながら作ったのが「スモーク・オン・ザ・ウォーター」なんだ。 1小節に25個も音があるんじゃなくて、それがたった3つか4つであるからこそ、皆が興味を持ってくれたんじゃないかと思うんだ。シンプルだけど、芸術的だろ。ある意味で、複雑なものを作るのは簡単で、シンプルなものはかえって難しいのさ。

──あなたの場合、バンドのメンバーと仲が悪く、喧嘩して、緊張関係にあったからこそ、良い音楽が生まれたという説を述べる人もいるんですが、実際のところそう思いますか?つまり、ディープ・パープルについて言ってるんですが…。
俺は誰とも喧嘩なんかしていないよ。口をきかなかっただけさ(笑)。他の連中は喧嘩してたかもしれないけどね。良い音楽を作り出すのに、必ずしも仲が良いことは必要じゃない。俺達の場合、全員が優れたミュージシャンで、互いに友達のフリをしていたんだよ。
反対に、ミュージシャンとしてあまり優れていない場合には、非常に仲の良い友達である必要がある。バンドの創造性がメンバー間の摩擦によって妨げられてしまう可能性があるからね。

──'97年にリッチー・ブラックモアズ・ナイトとして来日公演を行なった際には、あなたはステージ上で笑顔を絶やさなかったじゃないですか。
俺は殆ど微笑んだりはしないよ。いつも真面目腐った難しい顔さ。四六時中何かについて心配してるからね。心配ごとが何もないってことすら心配のネタなんだよ(笑)。

──ナイトとしての2度目の来日公演はいつ頃になる予定ですか?
たぶん今年の10月か11月になるだろう。成り行き次第だね。いつもアメリカのプロモーターや日本のプロモーターと、いつが良いタイミングだ、いつはダメだって話し合っているんだ。

──今回はアメリカでもツアーを行なうんですか?
ああ。たぶん8月になるかな。今、新たにブラックモアズ・ナイトを組もうとしているところなんだけど、俺の抱えている最大の問題は、100%こういう音楽を好きでプレイしてくれるミュージシャンがなかなかいないってことなんだ。「あなたと一緒にプレイ出来るなんて光栄です。ずっとレインボウに入りたかったんです」って言う人は多いんだけど、こういう輩が一番プレイしたいのはロックンロールだからね。俺が求めているのは、ナイトでやってる音楽が100%好きで、そういう風に生きている人なんだ。ジョン・フォードは参加してくれる予定だし、マーシー・ゲラもその点でバンドにどんどん馴染んできていて、彼女の成長ぶりには満足している。

──本誌はプロのミュージシャン志望の若い読者を多数抱えているのですが、良いアドバイスをいただけますか?
もちろん。 トニー・アイオミが面白いことを言ってたんだ。「良い弁護士を見つけなさい。契約書をよく読みなさい。マネージメントやレコード会社から不当に搾取をされないようにね」って(笑)。これは俺の体験から言ってることでもある。